私も多読の効用については否定しません。 読みたい物があれば、難しかろうが易しかろうが本人の気持ち次第でどんどん読めばいいと思います。 ものによっては辞書をひきひき読んだっていいし、辞書を引かずに類推や想像だけで読み進んでもかまわないと思います。 和訳して読みたければ、そうしたっていいんだと思ってます。 読書好きの子供が手当りしだいに読みあさる様な事でいいんだと思ってます。 浜谷さんの掲示板で以前書いた事があると思うのですが、pleasure reading としての多読です。
「聞き流す事、読み流す事」についてですが、これはただ漫然とわからない所をすっとばして読む、と言うのとは少し違うと思います。
語学の勉強としてリスニングやリィーディングをする場合には、それに適した教材を生徒のレベルに合わせて選ぶ必要があると思います。 私のわずかな知識と経験だけですので、間違っているかもしれません。
「読み流す」=わからない所を気にせずに飛ばして読む、事について考えてみたいと思います。
私が「わからない所を気にしないで読む」事を教えるとしたら、文学作品ではなくジャーナリズムの英語を選びます。
(これはネイティブスピーカーの講師から私自身が習って来た事の受け売りでもあります。)
新聞や雑誌の記事などは、1パラグラフに1つの情報、が基本だそうです。 (パラグラフリーディングと言う用語があるので浜谷さんも御存じの事だと思います。)しかもパラグラフの骨子になる情報はパラグラフの最初か最後のセンテンスにあります。 これが「読み飛ばし」できる為の1つ目のコツです。
物書きのプロは同じ単語を繰り返し使うのを嫌うそうです
。 1つの単語がわからなくても、キーワードになる重要な単語であれば、別の表現や別の単語で言い換えられて出てきます。 読み進む内に意味がわかる様になるので、「辞書をいちいちひく必要はない」のです。 これが2つ目のコツです。
ニュースなどの時事関係の記事では、読み手は多かれ少なかれ背景知識を持っています。 粗筋や関係人物などはあらかじめ日本語のニュースなどで知っている場合が多いので、これが理解の助けになります。 専門用語なども文脈の中で類推出来る事が多いので、「語彙を増やす」助けになり「辞書をいちいち引かなくてすむ」のです。 これが3つ目のコツです。
磁場にいない学習者にとって、ニュース記事などはリアルタイムで起こった事なので、他の英語教材よりも実感が伴いやすい、というメリットもあるかもしれません。(「時事英語」が英語学習者にもてはやされるのは、上記の様な理由からだと思います。)
そういう計算された読解教材を使う場合には、読み流す、聞き流す、と言う「コツ」を教える事もできるとおもうのですが、小説などでは作家のスタイルがあったりして多読のコツなどは漠然としていて教えにくいだろうと思うのです。
やっぱり純粋な多読だけによる学習法は、初心者には難しいのではないでしょうか。 これも前に言ったかもしれないのですが、基本教材として 文法ドリルやテキストがあって、余裕のある生徒の副教材として、テキストの進度にあわせた語彙量と語法を注意深く選んでつくってあるダイジェスト版の様なものを与えるべきだろうと思うのです。
2〜3割程度の理解でよし、として読み進ませるのはかえってフラストレーションが募る様に思います。 初心者にどうしても多読を勧めるのであれば、学習者のレベルにあわせてきめ細かく読むものを選んでやるべきだと思います。
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