85. O(札幌)さんから 投稿者:根石吉久  投稿日: 6月30日(土)04時08分14秒
 
 塾の先生から、「電話でレッスン」の申し込みがありました。
 申し込みのメールに書かれていたことに、語学論めいたお返事を書きましたので、許可をいただいて、相互のやり
とりを転載いたします。

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O(札幌)様から
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素読舎 根石吉久様            2001年6月24日(日)

 「電話でレッスン」をぜひ受けたいと思います。その申し込みのメールを送ります。
 私は札幌市に住むOと申します。一年ほど前から、根石様のホームページを興味深く拝見しております。私は、まさに、「使えない英語」しか持ち合わせておりません。以前は、それでどうということもなく、英語を習得しようという意志もありませんでした。しかし、最近になって英語をものにしたいという欲求が生まれました。
 その最初のきっかけは、根石様のHPです。根石様の方法論で、自分の英語がどれだけ鍛えられるのかを試したいと思いました。また、日本にいながら英語を習得することは困難であるけれども、そこから「日本の英語」が生まれてくる、という考えに共感を覚えました。ヨーロッパ文化圏にすむ人間の優位性に腹立たしさを感じ、なぜ英語を使わなくてはならないのか、と思っていたわたしのわだかまった気持ちに一つのけりをつけてくれました。
 また二つめは、仕事で、英語を習得しなければならなくなったということがあります。私は塾の講師をしております。その塾で、個別指導として中学一年の生徒に英語を教えることになりました。定期テストでは、問題がないものの、こんないい加減な英語を教えるのは苦痛です。また、この二人の生徒に対しては、教える方法については自由であり、それならば、定期テスト対策のような不毛なものはやりたくないと考えました。

 学校文法は受験の時にやりましたので、一通りは「頭」で理解しています。
 単語量は中学生レベルだと思います。
 聞く読むは、ほぼ初心者です。

 時間は土曜日の午後11:40−0:10を希望します。

http://www.asahi-net.or.jp/~ax9y-nis
 
 
 


86. O(札幌)さんへ(1) 投稿者:根石吉久  投稿日: 6月30日(土)04時13分05秒
 

 ホームページをお読みいただき、ありがとうございます。
 また「電話でレッスン」のお申し込みをありがとうございました。

 ご希望の土曜日は問題ないのですが、時間帯を、10時50分〜11時20分に早めていただくことができますでしょうか。駄目なら、ご希望通り、11時40分〜0時10分でやらせてただきますが・・・。
 開始は7月からでよろしいでしょうか。
 ご返事をお待ちします。

 また、しばらくは私がお相手しますが、途中から、現在の私の生徒さんの中で、上級に属する方にレッスンをお願いすることが生じるかもしれません。その時は、またメールなどでよく相談させていただくということで開始させて
いただきたくお願いいたします。

 「日本にいながら英語を習得することは困難であるけれども、そこから『日本の英語』が生まれてくる」というのは、まさにその通りで、『日本の英語』というのは、「英語の磁場」を欠いた場所「でこそ」育つ性質のものになるはずです。だから、初級、中級のあいだは、ごつごつした感じがすごくするものです。
 逆流をさかのぼる語学が「日本の英語」の基本の性質で、これはヨーロッパ系言語で育った人が獲得する英語よりも何十倍も苦労の量が違います。決して2倍や3倍の苦労ではないのです。同じ「泳ぐ」という行為でも、例えば、ドイツ語で育った人が英語をやるのは、流れと共に泳ぐとか、同じ場所にとどまるために鰭を動かし続ける程度の泳ぎであるのに、対して、日本人がやる英語は必ず流れに逆らって、上流に向かって泳ぎ続けるような激しい行為になります。
 語学として同列に論じることのできないようなものが、日本の英語です。日本語と英語の「関係」がもたらす特殊性というものは、絶対にあると私は考えています。

O> ヨーロッパ文化圏にすむ人間の優位性に腹立たしさを感じ、なぜ英語を使わなくてはならないのか、と思っていたわたしのわだかまった気持ちに一つのけりをつけてくれました。

 私が英語をやってわかったことは、「英語でしか言えないことがある」ということであり、つまりこれは「日本語でしか言えないことがある」ということをも意味します。
 「ヨーロッパ文化圏に住む人間の優位性」というのを私は宙づりにしてあります。英語をやる人には、これに対して無自覚に「なびく」人が多いのですが、私は宙づりにして疑っています。迷信だろうと疑っているのです。
 ヨーロッパ文化の優位性が確実にある分野は多々あります。それはその通りです。しかし単に「優位である」とだけ言ってしまえば、それは本質規定になってしまいます。こういう愚劣な本質規定を、ヨーロッパ人もアジア人もやります。とりわけ、日本人がやります。口で言わないだけで、日本人にはたくさんいます。いくら英語をやっても、私はそれだけはやりたくありません。
 欧米の文化は大事です。それを認め、それとつきあっていくということは大事です。しかし、それ以前に「へつらう」とか「なびく」という日本人の心の性質が私は嫌いです。英語をやる人に多いタイプですが、特徴的なのは、この人たちは日本語を大事にしないということです。
 私は自分の日本語を鍛えるために英語をやっているといってもいいような一面を持っています。英語を鍛えるのなら、それと同じように日本語も鍛えていきたいと願っています。
 Oさんがおっしゃっている「優位性」は「優位な立場に立ってるくせに」ということであればよくわかります。しかし、それならば、いまや日本もそう言われてしまう国です。

http://www.asahi-net.or.jp/~ax9y-nis
 
 
 


87. O(札幌)さんへ(2) 投稿者:根石吉久  投稿日: 6月30日(土)04時15分18秒
 
O> また二つめは、仕事で、英語を習得しなければならなくなったということがあります。私は塾の講師をしております。その塾で、個別指導として中学一年の生徒に英語を教えることになりました。(略)定期テスト対策のような不毛なものはやりたくないと考えました。

 中学一年生の一年間は、本当は非常に大事な一年です。
 私の掲示板「大風呂敷」で、「音読」を奨めています。
 是非、音読をやっていただきたいと思いました。
 そのためには、「先生」がまともな「音」を持つことは肝要であり、前提にもなりますから、「電話でレッスン」を受けていただくことは大いに意味のあることです。
 個別指導というのは何人を相手にされるのでしょうか。5,6人までの教室でしたら、ただちに「音読」が導入できます。

 音読には極端な即効性はありませんが、しばらく時間がたてば、知識を知識としてとどめてしまうような「授業」とは比べものにならないほど、いわゆる「中間・期末」のテストにも強くなります。基礎の基礎がしっかりするためです。

 私の仕事も、「使える英語の基礎を作る」ことと「テストで点をとれるようにする」ということに引き裂かれている仕事です。この両立は実は人々の迷信を切り裂いて、前に進むような仕事になります。
 塾の乱立の中で生き延びてこれたのは、「両立」させた実例を作ってきたからです。

 単に受験制度やテスト体制の中で「点をとらせるためだけの塾」ははっきり申し上げますが、実害があります。使える英語を作るために実害があるのです。
 塾の仕事としての本筋は、「両立させる」ところにあると思います。
 結構つらい仕事です。

 メールの内容を読ませていただいて、映画のシナリオを使った「電話でレッスン」より、中学の教科書を使う方がいいのではないかと思いました。生徒に読ませる教科書の文で「音づくり」していただき、ただちに生徒さんの音として反映させていただく方がいいと思いました。
 この点に関してもお返事をお待ちします。

 レッスン開始以後も、質疑応答は「掲示板・大風呂敷」で行えます。
 個人情報は伏せていただいて結構ですので、どうぞご利用下さい。
 英語の扱い方に関しては公開の場でやっていきたいと考えています。

 いただいたメールも、O(札幌市)さんからいただいたメールとして掲示板の方に掲載させていただきたいのですが、ご許可いただきたくお願い申し上げます。

 私の方法をただちに試せる場所は、多くの小型の塾、小型の英語教室だと考えています。そういう仕事をしておられる方々にお読みいただきたいと考えているためです。どうぞご許可いただきたくお願いいたします。

http://www.asahi-net.or.jp/~ax9y-nis
 
 
 


88. O(札幌)さんから 投稿者:根石吉久  投稿日: 6月30日(土)04時21分40秒
 
根石吉久様

 丁寧なご返事どうもありがとうございます。メールになれていないせいか、ホームページや「どんでん返し」の作者の方とこのように身近に通信ができることをうれしく、また、不思議に感じています。
 開始日の件ですが、7月の第一週目は私用により家を空けてしまいます。こちらから、土曜日を希望したのに申し訳ありません。7月の第一週は、1日(日)から6日(金)の午後11時以降に振り替えていただけないでしょう
か。
 第二週以降は、土曜日で大丈夫です。時間は、午後10:50からでかまいません。

>また、しばらくは私がお相手しますが、途中から、現在の私の生徒さんの中で、上級に属する方にレッスンをお願いすることが生じるかもしれません。その時は、またメールなどでよく相談させていただくということで開始させていただきたくお願いいたします。

 了解しました。
 「ヨーロッパ文化圏にすむ人間の優位性」というのは、文化が優位であるという意味ではなく、「英語」が世界共通語になっていることに対していったものです。世界共通語を習得する上で有利であるという意味です。この事実は動かしがたく、どんな代替案も有効ではないということへのいらだちです。しかし、この現実を受け入れ、そこから、自分の日本語を見つめ直すことに利用できるなら、そして、日本人の使いやすい英語を作っていくことができるなら、学習するかいがあるというものです。
 札幌に「自由学校ユウ」という、市民講座を開く団体があります。そこではさまざまな語学講座が開かれていて、当然英会話の講座も開かれています。でも、普通の英会話学校とは違って、講師は欧米以外の人々なのです。つまり、英語はすでに、「英語圏」の人々だけのものではなく、さまざまな英語があるのだということをアピールしているのです。おもしろい企画だと思いました。
 個別指導の生徒は2名です。現在のところ、本文・単語の暗記を行っています。声に出して読み、書いて覚えることです。
 自らの学習としては、毎日、30分ほど、本文の録音テープを聴き、くり返しまねて、暗記してしまうことをやっています。一年生の教科書がようやく終わり、最近二年生の教科書に入りました。
 教科書は、ワンワールド(教育出版)を使用しております。

>メールの内容を読ませていただいて、映画のシナリオを使った「電話でレッスン」より、中学の教科書を使う方がいいのではないかと思いました。生徒に読ませる教科書の文で「音づくり」していただき、ただちに生徒さんの音として反映させていただく方がいいと思いました。この点に関してもお返事をお待ちします。

 英語のシナリオを素読するというのは、すごく興味をそそられてるのですが、やはり、趣味より即効的な実益です。中学の教科書でお願いします。

 私のメールは転載していただいてもかまいません。差し障りのあるときは、その旨を書きます。

今後ともよろしくお願いします。

追伸 私の勤めている塾のホームページアドレスです。機会がありましたら、ご覧下さい。

  http://www.aunet.ne.jp/~eues/
 
 
 


89. O(札幌)さんへ 投稿者:根石吉久  投稿日: 6月30日(土)04時22分37秒
 
 ご返事遅れまして申し訳ありません。

 6日(金)への振り替えの件ですが、現在、金曜日は午前0時まで埋まってしまっています。時間がとれず、私のホームページの欠員情報を書き換えてありません。申し訳ありません。

 少し慣れてきた頃に、土曜日10時50分から1時間やるというようにストックしておくことではいかがでしょうか。

O> 自らの学習としては、毎日、30分ほど、本文の録音
テープを聴き、くり返しまねて、暗記してしまうことをやっ
ています。一年生の教科書がようやく終わり、最近二年生の
教科書に入りました。

 生徒さんは、中学一年生が二人でしょうか。私とのレッスンですが、1年生用の教科書からやった方がいいでしょうか。二年の教科書からがいいでしょうか。来年教科書が変わるということらしいですが、二年の教科書をやられてもその文を来年の二年生は使わないということになりそうです。

 私の方で教科書を用意しておく必要がありますので、お知らせ下さい。
 また本は注文してもなかなか届かない(東版・日版というずうたいだけでかく役立たずな流通のせいです)ので、始めるところから最初の20ページ程度をコピーして送っておいていただくと助かります。
 
 ひとまず中学の教科書で始められるとして、やってみて、これはシナリオを使っても大丈夫な人だと判明した場合(つまり、ダイレクトに教科書を扱わなくても、教科書の読みの質は確保できると判明した場合)、シナリオに切り替えることがあります。映画の音は、語学用に整えられていないので(煙草の煙にむせながら発音していたりする、など)、かえってあるレベル以上の方には、語学用として適しています。

 シナリオへの切り替え案を用意しておくのは、日本人は謙遜が激しく、実はけっこう力があるのに、自分をまるで初心者みたいに言う人がままおられるためです。
 いずれにせよ、実際にレッスンを始めてから決めさせていただきます。

 ご連絡をお待ちしています。
 掲示板への転載をご許可いただきありがとうございます。
 現在、非常に興味深いことを Eliot さんが書かれています。
 どうぞお読みいただきたく、こちらもお願いいたします。

http://www.asahi-net.or.jp/~ax9y-nis