根石さん、そしてこの掲示板のビュウアーの皆様始めて貴掲示板に書き込みさせて頂きたいと思います。
私は今連載されているEliot様の卓越した英語教育に対する識見とそれを実行に移していらっしゃる実行力に敬意を表させて頂きたいと思います。それは野にあって同様の識見と実行力のある根石さんと同軸にあり貴重な存在であると思います。その上で、失礼を重々承知しつつも、Eliot氏に質問させて頂きたい点がありますので、まだ連載の途中ですが以下に書き込ませて頂きたいと思います。その内容について根石さんやその他のビュウアーの方々のご意見も拝聴させて頂ければありがたいです。Eliot様
貴方様のただ今連載中の英語教育への並々ならぬ熱意、識見、実行力には賛辞を惜しまないものであることを先ずお伝えしたいと思います。その上である点について私の意見を述べさせて頂きたいと思います。
>和文英訳のなら日本人は和文の意味が分かっているのだから、その意味を英語の文章構造で表現するための和文英訳は、まさに英語学習の中心的訓練の一つとなる。
この点です。現在先生はどのようにして和文英訳を教えられているのでしょうか?私は中学、高校時代英語が得意だったのですが、これだけは苦手でした。今考えてみると思いあたることがあります。それはインプットが不足している(中学や高校での満足な量のインプットは不可能だと思います)状態ではどうしても英語が英語のまま出てくることはまれで、大体は日本語で考えたものを英語に翻訳する作業になると思います。>日本語に訳した上でないと理解できないような癖がついてしまったら、その生徒は終生その外国語を喋れるようにならなくなってしまうことに、重大な警告を発したい
とも言っておられますことに鑑みますと、「和文英訳は、まさに英語学習の中心的訓練の一つとなる。」と言っておられるのは中学や高校での和文英訳を中心的訓練の一つにすることが(日本語で考えたものを)英語に訳すことを容認することになるのでやはり「その生徒は終生その外国語を喋れるようにならなくなってしまうこと」にならないでしょうか? ちょっと分り難い文章になったように思います。すみません。要するに中学、高校での和文英訳はなるべくなら避けるべきだと思うのです。それよりも英文の読み込みにさらに重点を置く、つまり「インプット」に重点を置くべきだと考えますがどうでしょうか。
Eliot様
http://www1.odn.ne.jp/~cet09590/
浜谷様拙文をお読みいただき、ありがとうございます。今まで人に聞いてもらいたいと思いながら、機会がなかったのですが、根石さんが掲示板を作られましたので、まさに「大風呂敷」を広げさせていただいています。
「英文和訳の作業はそれをやらされている生徒に...」から「...世界に稀に見る惨憺たる結果になるのである」までは、私の文章ではなく、アルベルト湯川氏の本からの抜粋です。私は中高の英語学習での和文英訳練習を否定するものではありませんが、湯川氏のように「和文英訳は、まさに英語学習の中心的訓練のひとつになる」とまでは思っておりません。理由は浜谷さんがおっしゃっている通り、和文英訳は日本語からの直訳を招き、不自然な英語を誘発することがしばしばあるからです。
英語を書くということは「アイデア⇒英語」であるべきであり、「日本語⇒英語」の直訳では奇妙な英語が生まれます。私の生徒たちの最近の誤文の例をあげると、「今日は疲れた」⇒Today was tired.とか「もう雨は降らないでほしい」⇒I want not to rain more.「昨日のぼくの小テストはよくできなかった」⇒Yesterday's my small test couldn't do well.などです。正しくは、I was tired today. I don't want it to rain any more./I don't
want any more rain./I hope it won't rain any more. I didn't do well on yesterday's quiz.などでしょう。私は生徒に大量の和文英訳練習をさせますが、それはインプット作業を通して覚えた文法項目や表現をほんの少し違う文の中で使わせる練習や、時制を正しく使ったり、名詞の単数・複数や可算名詞か不可算名詞か、特定か不特定か(=aかtheか無冠詞か)を判断して正しい英語を書くための練習問題ですから、妙な直訳が生じる危険性は少ないと思います。問題の日本語文のほとんどすべてが、私が生徒の知っていること、練習してしてほしいことに基づいて自作したものですので、無理な英訳を強いるものではありません。例えば、生徒が教科書の課文の中で What do you like best about England?を覚えたら、「君は東京のどこが一番気に入っていますか」「君がぼくの詩のどこが一番気に入ったか教えてください」「彼女は中国旅行のどういうところが一番気に入りましたか」などの文を作って与え、英語で書かせるわけです。その際には、poemとかtrip to 〜とかいう英語も既習のものの中から適宜組み込むようにしますが、生徒は、tripをthe tripかher tripにせねばならないということを考えて英文を書かねばなりません。
インプットに重点を置くべきだというお考えに賛成です。しかし、中学範囲の文法や語彙を学習するまでは、絶対的に英語の知識が不足するため、適当な読書材料が得にくく、多読も多聴もままなりません。私の生徒たちは現在高校用英語Iの教科書を数課進んだところです。やっと色々な読み物が利用できるようになってきました。和訳せずに読み進むことができるものとして、Penguin BooksやOxfordなどのgraded readerや、各社の中学校三年生用の英語教科書の中の読み物などをどんどん読ませようと計画しているところです。まずは今度の夏休みの課題としていくつかやらせます。
Eliot様早速レスありがとうございます。それにしても午前2時半に書いてらっしゃるというのは!根石さんもそうですがどうかご自愛ください。すごくまともな英語教育者であるお二人には誰よりも長生きして欲しい、そして一人でも多くのまともな英語を使える人を創造していって欲しいと思うからです。
さて、どんな返事を頂けるかな、と期待と不安の入り混じった思いで起きがけに掲示板をのぞきましたら、期待していたとおりのレスが頂けてほっとしています。アルベルト・湯川氏の英文和訳についての考え方は的を得ているので、おかしいなと思いました。その本を読んでみたいと思っています。先生の和文英訳の指導のしかたは実に的を得たものだと感心しました。実は私はある会社を準定年で退職した後英会話の先生になりたくて米国の大学の入学予備科に行ったことがありますが、スピーチをしなければならないことがあって原稿を書くとき英作文がどうしても和文英訳になってしまうので困ったことがあります。自分の考えをフルに伝える為には欠かせない作業だからでした。入学予備科では入学したあと受講するに必要な能力をつけるための学科で、TOEFL得点の上位の者は本科の科目を2コ受講できるのですが、その1コでの出来事だったのです。旧得点で520の段階でしたがその段階では現場での英作文に翻訳作業が入るのは仕方がないんだろうと一人で慰めていましたが・・・。ですから、先生の教え方には諸手をあげて賛成です。ぜひその教え方が中学、高校での英作文の主流になって欲しいと思いました。http://www1.odn.ne.jp/~cet09590/