こうじさんあなたからとやかく言われなくても、私だって英語はそれなりにできるのです。少なくとも、私の仕事で必要とされる程度以上にできると思いま す。あなたが「100%の聞き取り」だとか「西海岸の発音」だとかに一生懸命になられたのは、それがあなたの人生に必要なものだからでしょう。今の私には そんなものは必要ないのです。四十代の半ばになって、家庭と仕事に時間を割き、与えられた時間の中で自分のしたいこと、せねばならないことに精力を注ぐ生 活をしている私がなぜ、一日中フォックステレビを見つづけねばならないのですか。
発音だけなら、一般米語、南部訛り、ボストン訛り、BBC英語、オーストラリア英語の真似くらいはできますし、現在も限られた時間 の中で英語に耳を傾け、自分なりに勉強しています。ただし、前に書いたように、母語である日本語でできるような聞き取り能力を「100%の聞き取り能力」 と考えるならば、英語でそのような水準に達するために時間と労力を注ぎ込むことは、今の私にとっては人生の残り時間の無駄遣いです。あなたがご自分の時間 をどう使われようがそれは自由ですが。
1年間アフリカに行かれた先生の話が私と何の関係があるのですか。
生徒のことですが、私の書いたことをよく読んでから発言してくださいね。私が「私の生徒達は将来たいした職業につかないから、勉強 などしなくてもいいのです」なんて書きましたか。私の生徒達の中から留学する人や、それこそ世界で活躍する人が出て来るかもしれない、いやそうあってほし いと、私も常々思っているし、生徒にもそのような夢のある話くらいしていますよ。教師ですから。
私が言いたいことは、世界で活躍するような人が別に「アメリカ西海岸の発音」でなければだめだとかいうことはないし、アメリカ英語 を母語のように100%聞き取れなくてもいい、ただそれだけです。知らない単語が聞き取れなくても、それ相当に英語力があり、何よりも自分の専門の分野で 優れた実績や実力があれば、世界を相手に活躍できないはずはないでしょう。その際、もしかしたらバリバリのアメリカ訛りよりBBC英語の方が尊敬されるか もしれないし、または私が研究している、国際英語としての日本人発音の方が好まれるかもしれません。だってアメリカ人で満ち溢れているんじゃないですよ、 この世界は。日本で、アジアで、またはアフリカで活躍する日本人がアメリカ西海岸発音で英語をしゃべるということの方が不自然ではありませんか。
中学生や高校生は英語ばかり勉強するわけにはいきません。だからこそ、私は、彼らが覚えやすいように発音もルール化できる部分はそ うしてやって、限られた時間の中で最大限の効果をあげられるように指導しようとしているんです。「相手を信頼しろ」「音に言葉をのせろ」とかを英語の時間 に言っても効果は薄いと思います。また、生徒に対して、ウォークマンを8台くらい壊すくらい聞けとか、英語環境を得るために洗礼を受けたらどうか、など と、それこそ「体力の限界」まで英語の勉強に身も心も捧げよ、というようなことを言えるわけありません。
>知らない単語が聞き取れなくても、それ相当に英語力があり、何
よりも自分の専門の分野で優れた実績や実力があれば、世界を相手
に活躍できないはずはないでしょう。その際、もしかしたらバリバ
リのアメリカ訛りよりBBC英語の方が尊敬されるかもしれないし、
または私が研究している、国際英語としての日本人発音の方が好ま
れるかもしれません。だってアメリカ人で満ち溢れているんじゃな
いですよ、この世界は。まったく賛同いたします。
アメリカ訛は国際英語になるべきではないとさえ思います。あまりにも自己中心的な音であり、崩れています。聞き取りの練習に使うのに媒 介する場合には、どんどん激しく媒介にすればいいと思いますが、自分でしゃべるのに、こんなふうには絶対にしゃべりたくないというような崩れが多いと思い ます。
非常に興味があるのは、「国際英語としての日本人発音」の研究です。どんなことをされているのでしょうか。これは、授業での「音」の扱いに直結している研究だろうなとも思っています。学校は今、忙しい時期でしょうか。
またお時間ができましたら、連載の続きをお願いいたします。http://www.asahi-net.or.jp/~ax9y-nis