ST 様>そのあたりのご苦労(つまり一般の生徒にも素読の良さを理解して
もらい実際に実践してもらうこと)はたいへんなものがあるのではな
いかとおもったのです。実際にわたしも現場に復帰したときに、1時
間の3分の1(いや2分の1でも足りないとおしかりをうけそうです
が)でも回転読みを小教科のチームという制約のなかで(実際わたし
が小教科のチーフとなり他の先生がたを説得できれば一番よいのです
が、)実践するときの説得の方法(生徒への効果的な説得方法、また
教師への効果的な説得方法)を根石先生のご経験から教えていただけ
ないでしょうか?素読そのものに関しては、ほんとうに無理解に囲まれてやってきました。
小学館文庫「英語どんでん返しのやっつけ方」では、「回転読み」に関して書いてありますが、「技法グラウンド」については書いてありません。
「回転読み」はあくまでも、一人の人が自分に対して行う練習方法です。つまり、「机上」の方法です。私が「机上」という場合、学校のよ うにずらずらと並んでいる机を想定しているのではなく、一人の人が一人で練習する(独習・独学する)ための机を想定しています。また、机という具体物に特 に固着させて考えているわけではなく、一人が自分に対して練習を行う場はすべて「机上」だとも考えています。
例えば、私の車は、エンジンがかかると同時にMDが鳴るようになっています。MDには映画が録音されており、私は車を運転しているときは必ず英語を聞いています。これも、一人で自分に対して行っている練習の一種ですから、「机上」だと思っています。
本物の磁場ではなく、擬似的な磁場に潜り込む場所を「机上」というふうに言っていますので、比喩的なものの言い方です。
「回転読み」はあくまで「机上」向けの方法として書きました。
学校の教室に持ち込むのはかなり不向きだと思います。普段、レッスンのときにやっていただいているやり方。つまり、私が一回言った(読んだ)ものを同じ調子で五回繰り返し言い続けていただくやり方ですが、これを「技法グラウンド」と言っています。
「回転読み」で一人で練習しておいていただき、「技法グラウンド」でチェックを受けるというのが、私の「電話でレッスン」です。
この「技法グラウンド」の方は、教室に持ち込んでいただくことはできると思います。しかし、私が試してみたかぎりでは、一人の先生に対して生徒の数は、五人から六人だと思います。ですから、こちらも学校に持ち込むのは現実的には無理ではないでしょうか。「回転読み」はあくまで個人が一人でやる練習であり、「技法グラウンド」は個人レッスンあるいは、ごく少数の人を相手にやる方法です。現在の学校という体制の中では無理だと思います。
現在の学校体制におけるテストのための授業、テストのための英語が根底的に変革されない限り、「回転読み」や「技法グラウンド」を学校の授業に持ち込もうとしても失敗されるおそれが大いにあります。テストのための授業や、テストのための英語を教えてしまっていて、それになじんでしまっている先生たちは説得されないのではないでしょうか。学校英語という虚妄の信者をやめようとしている先生達が一丸になればなんとかなるかもしれないというようなものだと思っています。
ST さんが学校でやられるには、 Eliot さんが書いてくださった実践の方がずっと役に立つと思います。
私の塾では、中学生には学校の教科書を使った「技法グラウンド」が行われ、それ以後の生徒(主に高校生)には、私が自作した教材が使われています。小学館文庫に書いた方法をそのままやっているのではありません。あくまであれは、一人でやるべき方法として書いたわけです。
塾でどんなことをやっているのかは、オーストラリアからお帰りになってから、塾を見に来て下さるということですので、その時にお話できると思います。http://www.asahi-net.or.jp/~ax9y-nis