Eliot>私は何年か前に、教師の仕事は説明することではなく、生徒が自分の頭で考えるよう
にしむけることだと強く主張する塾経営者が書いた本を読んだことがあります。それは「英語
これならドンドンわかる」(鵜沢戸久子 明日香出版社)という本で、著者の鵜沢氏は独特の
英語教育観を展開しており、私はこの本から多くの示唆を得ました
この本は私はまだ読んでありませんが、主張にまったく賛同します。
説明がどれほど無力なものかを全国の全学校の全教科の全先生は一度は真剣に考えてほしいものだと思っています。学校が一部のオリコウな生徒のためだけのものでいいのなら、あっしらの税金は使わないでね。一部のオリコウな生徒だけが価値があるとでも思っている日本のイチリュウキギョウからとりたてた税金だけで学校をまかなってね。
私は本当に説明というものをしません。質問されると、説明というより、自分で考え込んでしまいます。一度、中学一年生に I は「なぜ」いつも大文字で書くのかと聞かれ、ふうむ、と考え始めてしまいました。これは、キリスト教の God と I との関係からくるんじゃねえかなあ、とかよたよたと言い始めました。神と「私」は、ヨーロッパでは、絶対的な関係をとりむすぶ。直に向き合う絶対的な関係をとりむすぶ。大文字で書かれる God と絶対的な関係ととりむすぶ人称が I だからじゃねえかなあ、などとぶつぶつ言っておりました。
塾生は真剣な顔で聞いてくれましたが、納得したようなしなかったような顔をしていました。その後、じゃあ、
「なんで」God は大文字で書くのとは質問されませんでした。
そりゃあ、おめえ、偉いからだよ。校長や大統領やなんかも、大文字で書くことがあるのは、そりゃあ、おめえ、あの手の人物が偉いと人々が思っているからだよ。
だいたいが、日本には八百万(やおよろず)の神がいるのに、ヨーロッパには、神は一人しかいなくて、日本の八百万の神は、あちらじゃ神として認定されず、sprit というものに格下げされるらしいや。ひとりっきりのそのテの神が偉いと思っているのがヨーロッパ人なんで、こりゃあ、俺らとはえらい違いだ。
そんなふうに、よたつきながらその場で考えながら塾生に話をするということはたまにあります。文法の説明を塾生にすることはありません。説明(無力な手段)でわからせるのではなく、生徒が考えるための素材をきちんと持たせることをしています。素読というお江戸の技法を駆使しているのはそのためです。
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