102. 小学校の英語 投稿者:根石吉久  投稿日: 7月 1日(日)03時04分11秒  
Duffy様

Duffy>私は小学校で英語を教えるのは大反対なのですが、中止できな
いのであれば、せめて小学校で英語を教える予定の先生に根石方式のト
レーニングを受けさせなくてはいけないと思います。

 私は語学の英語と生活言語としての英語を別のものだと考えています。その本質が違うと思っています。

 また、学校的知識と生活的知識もその本質が違うと考えています。語学の言語を生活言語に渡らせることが、「音読によるインプット」で実現できるのであれば、学校的知識と生活的知識も「音読(素読)」は結ぶことができるのではないかと考えています。

 本当に日本人に英語を根付かせる気があるなら、理科や数学の授業は英語「で」やってもかまわんのかも知れないと、以前もっこりさんとやりとりしたメールの中で考えたことがあります。これに関しては、実は今も???のままです。
 学校的知識はしょせん学校的知識ですから、それらを英語で扱っても、生活言語としての日本語さえ冒されることがなければ・・・、とは思 うのです。英語による学校的知識がもしも実現したとして、最後の砦は生活言語としての日本語だと思っています。およそ、英語で飯を食ってきたもののものと も思えないもの言いですが、そう思っています。

 ではその日本語ですが、小学校の教室でやっている「国語」という授業の日本語の扱いかたは相当でたらめなものだと思います。私は 中学1年生に、「ニュー・クラウン」とか「ニュー・ホライズン」という英語の教科書の「教科書ガイド」を音読させることがありますが、中学1年生になっ て、日本語が読めない子供がたくさんいます。生活言語としての日本語に渡る質を学校の「国語」は持っていません。それっぽい解釈なんぞを押しつけているだ けです。
「音読」という一項目が抜けています。

 小学生にちゃんと日本語の「音読」をさせれば、彼らは日本語の磁場の中に生きていますから、音読がこなれた文は自然に充電されます。生活言語からの充電、生活言語への放電が交互に自然に起こるのが、日本人の日本語の素読だと思います。
 きわめて乱暴なことを言えば、分析的な文法知識(しかも基底のあやふやなニセ文法)を放置して、まずはさまざまな(古典も含めた)日本語に対して「音読」「素読」をちゃんとやるべきです。再度乱暴に言えば、小学生の間はそれで十分だと考えています。

 英語「を」やるのか。英語「で」やるのか。
 英語「で」やるのなら、どの教科を英語「で」やるのか。やるなら、小学校教師の失業者が大量に出るでしょう。
英語「で」やれる先生などほとんどいないのですから、英語圏の教師を雇うしかないでしょう。
 しかし、そんなものが実現すれば、日本の子供の学力ががたがたになることは間違いないと思っています。私が見るかぎり、公立の小学校の子供の学力は、本来の学力ということから見れば、今もがたがたです。それが一段と取り返しのつかないものになるでしょう。

 こんな現状を横目に見るならば、日本語の「音読」(素読)は小学校の授業の眼目となるべきだと思います。それさえきちんと確保さ れるなら、それが確保されていると確認できた生徒に対して英語「で」授業をするということは一部で導入されてもいいのかもしれない。しかし、日本語の「音 読」(素読)を放置したまま、英語「で」の授業など導入した日には、がたがたがとりかえしのつかない惨状を呈すると思います。

 英語「で」やるのではなく、英語「を」やらせるのであれば、「音読」や「素読」にとどめておくのが一番害がないと思います。素読 はなにしろ、意味的には「からっぽ」のまま音声(表層)だけを完成させてしまうような、ラディカルなところがあります。これは子供に異言語をやらせるには もっとも害のないものであり、将来、意味的に充電されることがあれば、それに確実に備える機能を果たします。意味を迎えるための「受け皿」だけをちゃんと 作って
おくというようなことになります。子供は面白がらないかもしれませんが、原理としては、これが一番害がありません。

 今後の小学校での英語は単なる「外人慣れ」を作り出すだけで、効果がないから実害もないというようなものになるのかもしれませ ん。しかし、実際は、実害は生じるでしょう。もしも、「音読」や「素読」だけにとどめるにせよ、しろうと同然の現在の小学校の先生が英語なんぞ扱った日に は、日本の英語にまた一段と悪い癖がつくことは間違いありません。これまで文部省のやってきたことは、どこまでも祟るわけです。
 小学校の先生たちのための「音読による音づくり」が習える「先生たちの英語の学校」が早急に必要なのですが、ぼんくら文部科学省は何もしないで、いよいよ日本人の英語をたちの悪いものにしていくのでしょう。先は暗いです。

http://www.asahi-net.or.jp/~ax9y-nis