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>昨日、息子の教科書一気読みにつき合いました。「毎日やったら、そのうち教科書見なく
ても言えるようになるよ」と言った
ところ、「よっしゃー」となってLesson 1からソラでやり始めました。Lesson 5まではほぼOK、Lesson
6が8割方で、7に入ったところでガクンと落ちて、うろ覚えという感じでした。これはちょっと驚きました。読みの自習トレは始めたばかりですので、レッス
ンのみで上記の状態まで来ているという事になります。
私のレッスンは、週に一回、わずか30分ですが、それが実質を形成しうるのだと報告していただいたのだと思います。うれしいです。
「教科書見なくても言える」というのは、本人が「よっしゃー」ならやってもらっていいですが、決して強制にはしないで下さい。
>根石さんから今の「ネイティブ音素含有率」60%との判定をいただきましたが、当面の目標となる70%との差はどの辺りになるのでしょうか。
60パーセントではなく、60パーセントの後半に来ていると思っています。今でも、母音関係ばかり直していますが、直す回数は一回のレッスンで2,3回
程度になっています。
もう70パーセントに近いところにいると考えていただいていいですが、一回のレッスンで直すのが、2,3回から1,2回に減るまでに結構な時間がかかる
ものです。たまに1回直す程度になれば、間違いなく70パーセント台だと思います。
>母音関係はerなどを含めて、意識の中にあるように感じますが、子音関係でお決まりのf,v,th,r,lなどは、まだ意識にのぼっていないように見受
けます。音作りに関して現在はどこに力点が置かれ、今後、どういう感じで手が入っていくことになるのでしょうか。
f,v,th,r,l などのうち難物は r だと思います。それ以外は、比較的簡単に直ります。
r
の本質は、「舌がどこにも触らない」というところにあります。舌の位置は、歯に近い方にあったり、喉のほうにひっぱられていたり、まちまちです。本質は、
「舌がどこにも触らない」だと思っています。
こういう報告をいただいて改めてわかることは、私のレッスンはいきなり母音を攻めるという特徴があるのです。「いきなりCD」は駄目だが、「いきなり母
音攻め」はいいと思っています。
現在、村田君と協同で、発音用の教材を作っています。これができれば、息子さんにも使ってもらおうと思っています。f,v,th,l
などは一発で直ると思っています。とてもじゃないが一発で直るってことがないのが母音です。
これも言葉で言ってしまうと「なんだそんなことか」と言われることが多いので、言うのがいやなのですが、私の母音の扱いはほとんど「ア系列」だけです。
「ア系列」は大きく言うと3つしかありません。a と e の合体(一瞬般若・口の両端斜め上)、顎の下がるa (歯医者)、狭いア(逆さe
と逆さv)です。
逆さ e と逆さ v は、ひとまずは区別せず、両方とも「狭いア」として扱っています。(単独の)逆さ e はアクセントのないところに現れ、逆さ
v
はアクセントのあるところに現われるだけで、口の「狭さ」は同じだと考えていいと思っています。「狭さ」が同じなら、アクセントの有無によって、息の勢い
が変わり、「狭さを意識しアクセントさえ間違えていなければ」、ある程度までは自然に区別が備わる音です。ある程度まで備わってから、区別をするなら区別
をするのでいいと思っています。
たった3つの区別かよ、そんなら楽ちんだと思う人は実際にやってみればいい。そんな楽ちんのもんじゃないとわかります。 He has got a
gun. を初めて言う場合に、知識を介在させずに、感覚だけで3つをきちんと言い分けるようになるのが、日本人にとってどれほどの難事であることか。
私の音の扱いはいつでも「中間」を大事にしています。「中間」にある「通じる音」こそが日本人にとって最も価値のある音です。この一点で、私はネイティ
ヴ音崇拝の奴隷たちと違っています。彼らはネイティヴ音に「同化」したいのです。語学の態度としては、ネイティヴの性質に由来するものを「媒介」にするこ
とがまともであり、ネイティヴの性質に「一元化」することに、私はとてつもなく醜いものを見ています。恥ずかしくないのかというのが、私が何十年もかみ殺
してきた言葉です。
「一元化」をやってきた磁場帰りの者たちにも、磁場に渡って「一元化」をやりたがる者たちにも同じように醜いものを見ています。
アノヒトタチトハサイショニタモトヲワカチタイ、です。
今後どういうところに手を入れていくかについてですが、私の自作教材を使ったレッスンは、今のところ、文法の基礎を固めているところですので、息子さん
は音の方にはあまり注意が行かないかと思います。「音」に関しては、一休みの段階です。もちろん、「音」に関して問題があればその場で指摘していきます
が、おおまかにはこれまでのレッスンで言ったことを熟成させている段階です。味噌を作ったり、酒を作ったりするのと同じで、注意を注ぎながら放置しておく
段階も必要になります。この段階では、私はどのくらいの語数のものがどのくらいの時間で口に乗ってくるかということに注視しています。これは、単音レベル
ではなく、リズムに関係する「音」に注意しているということになると思います。単音の発音レベルは今の状態を維持し、口の乗せる語数を徐々に増やしていき
ます。
私の自作教材は、今、二箇所を同時進行で進めていますが、後から追いかけているものが先に進んでいるものに追いついた場合は、本格的に口に乗せる語数を
増やす段階になると思います。熟成が進んできた頃には、「もうCDの音をどんどん真似ていいよ」と再度言うことになります。「もうやれよ、やった方がいい
よ」と言うかもしれません。
コーチからうれしい報告をひとつ。
[a:r](歯医者)の音を先日、息子さんがすごくきれいに出しました。明らかに「根石先生」由来の音ではなく、CD由来の音でした。おおっ、と声に出
そうになりました。
私はとにかく、「顎を下げろ」とだけ言ってきたのです。ずっとそれだけを言ってきました。顎の下げが簡単に楽にできる口の動きが備わったときに、息子さ
んはCD音を「媒介」にして100点満点の[a:r]を「自分で」実現しました。それもごく簡単に実現したと思っています。「磁場」でこの音を最初から聞
き分ける耳ができています。
これが、「俺の生徒は俺よりも発音が上手なんだよね」が生じることの秘密です。
秘密ですが、わかるひとにはすぐにわかるので、秘密でもなんでもない秘密です。
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