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Mさん>吉さんから受けた”all
this”の発音の仕方の説明です。
確か...all
時の舌の位置は上の歯の裏につけていますが、thを発音する時その舌で上の歯の歯先を触りにいく。
吉さん>all
を「オー」と言った後、舌は、次の単語thを発音する準備をしにくい。歯の裏は触らないで、thは、舌で上の歯の歯先を触りにいく。
やはり、具体的に書いていただくと助かります。
all
this の l音と
th音の処理で、lを上の歯の裏につけるかつけないかですが、つけた方が丁寧な発音になると思います。いったん舌を上の歯の裏につけて
l音を出し、わずか移動し、舌を上の歯先につけて、こすってひっこめながら th音を出すというのが丁寧な発音だと思います。
l
の本来の「上の歯茎」ではなく、上の歯の裏になるのは、
thの音を出しやすくするための、代用的位置になります。舌が楽をしたいためにそうなるのです。この省力化ということが、あらゆる音と音のぶつかりあい(舌の動かしにくさ)の場面で見られると思っています。
この場合、l音のために舌を上の歯の裏につけるとはいうものの、もう歯先に近いところを使うので、舌先を移動するというより、舌を歯の裏につけている力を強めるだけで、舌は歯先に触ります。その人の正面から唇の開きの中を覗くと舌が見えている状態になります。th音は「くっついているものがこすれながら離れる」音なので、その位置でも充分に
th
の音が作れます。そうなると、th音を出しているところが、歯の裏の歯先に近い部分なのか歯先なのかあいまいになり(その両方に触れていたりして)、厳密に区別しなくていいようなことになります。これが常態として繰り返されていると、吉さんが言うように「オー」と言ったあと、舌をそのまま
th
の本来の位置(舌を上の歯先)に置いてしまうというやり方も成り立ちます。私の説明でも、吉さんと同じになります。
つまり、「オー」を言ったらそのまま舌を
th の位置(舌の上の歯先)につけ、lを言ったつもりで「黙音」にし、そのまま th
を実際に発音するということになります。これだと、舌は上の歯の裏にまったく触らないことになります。
これがこれまでの私と吉さんの共通理解だったと思いますが、今日、考え直してみました。
吉さんは、th
を、歯の裏で出すことと歯先を使うことを使いわけておられるとのことですが、これは that
の発音などで使いわけることかと思いました。
指示語の that (「あれ・それ・あの・その」を意味する that =
形容詞・名詞の that)では、that の a が「一瞬般若」の音になり、接続詞・関係代名詞の that では、同じ a
が「狭く弱く曖昧なア」(発音記号で[逆さe]になります。「一瞬般若」のはっきりした音と相性がいいのは、th
を本来の位置で発音する「歯先」、「狭く弱く曖昧なア」と相性がいいのは、省力化された th
の位置(歯の裏)ということになるのではないでしょうか。
この点、私の考えでいいのかどうか吉さんにお聞きします。
今日考え直したことというのは、「歯先に近い上の歯の裏」というのが、t,d,l,n
と th
のぶつかりあいでは万能ではないかということでした。これまで「歯先に近い上の歯の裏」という言い方は「発音10のポイント」にはなかったと思いますが、これが一番簡単な説明になるのではないかと思ったのです。
「歯先に近い上の歯の裏」という言い方をして、生徒さんが「歯の裏ではなく歯先」に舌が行きますと言われたら、「それでも構わないですよ」ということでいけるのではないか、と。
これは
t, d, l, n
についても同じようなことが言えて、「上の歯の歯茎」というより、日本人には「上の歯の歯茎と歯の境目」と言ったほうが、舌が触るべきポイントがわかりやすくなるということがあります。
t,
d, l, n のとき、舌が歯の裏に触ってはいけないかというと、触っても音が損なわれることはありません。そうして、th
も歯先に近い歯の裏でもよいとなると、t, d, l, n も th
も、全部舌の先が歯の裏につく音というふうにひとくくりにできます。
t, d, l, n は歯の裏の上の方、th
は歯の裏の下の方(歯先に近い方)というわずかな位置の違いになります。
いずれどこかで、丁寧な音を出すための「本来の位置」を言う必要があるだろうとは思いますが、歯の裏をどんどん使えば、これらの音はみんな出せると言うのが、日本人には楽だと思います。本来の位置を後回しにしてしまうというやり方です。これじゃまずいでしょうか。
このあたりについて、吉さんと共通理解を再度練ってみたいと思いました。村田君も参加してくれるとありがたい。
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