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大学受験で終わらない英語

 日本人は、高校入試・大学入試のために非常に多くの時間を英語に注いでいます。多くの時間とエネルギーを費やした英語が、ほとんどの場合、大学入試が終わると急速に錆び付いていきます。たいていの大学生の英語というものは、当人の大学受験のときの英語の力と比較すれば、大幅に低下しているのが普通です。

 ほとんどの日本人は、大学を受験する時がその人の英語力のピークであり、その後はどんどん英語を錆びつかせてしまいます。

 大学を卒業して社会人として生活を始めてしまえば、英語をやる時間はなかなかとれなくなります。英語は、やらないでいればどんどん錆びつきますが、この現象はとりわけ日本人に顕著です。日本人の英語の錆びつきの早さは、英語と日本語のシンタックスの異質性のためです。これは、日本語を母語とする日本人にとって宿命的なものです。

 日本在住のままで英語を使えるものとして保つためには、絶えず練習を継続することが絶対に必要です。

 素読舎は、長年に渡り、小学生・中学生・高校生・大学受験浪人生が使うための教材を作りつづけてきました。教材作成用のデータベースもかなり巨大なものに育っています。大学受験までの英語なら、もうこのくらいでいいだろうと言えるだけの教材の作成を終えています。

 素読舎は、大学受験までの教材作成を今後停止いたします。

 これまでに作成済みの大学受験までの教材をすべて使い終わった人には、その後の練習を無料化することにいたします。

 現在、素読舎が作成している教材は、英会話用インプットのためのものです。これは、作成を継続します。

 現在、更埴市稲荷山お茶処「やじろべえ」、長野市信州大学工学部正門前お茶蔵「ゆいまある」、更埴市小島「素読舎」で、英会話用インプット教室が開かれています。これらは、口語一般英語を扱う社会人向けの教室ですが、素読舎の大学受験までの教材をすべて使い終わった人は、将来社会人になってから、これらの教室を無料で使っていただくこととします。

 まったく無条件ではありません。
 例えば、月曜の素読舎での練習は、月額5000円です。この教室は、アメリカから来たウドという男と一緒にやっていますが、ウドのとり分の半額2500円は無料化することができません。「やじろべえ」をお借りしている教室では、私一人が運営していますから、こちらなら完全に無料で使ってもらうことができます。
 もう一つの条件は、無料で教室を使う時間だけ、素読舎を手伝ってもらうことです。例えば、月曜の素読舎の英会話用インプット教室を1時間半、無料で使う場合は、土曜か日曜の素読舎で、1時間半、中学生や高校生の練習を見ていただくという条件があります。

 大人になってから、英会話用インプットを無料で使い、土曜か日曜に同じ時間の長さ分、素読舎を手伝っていただくことで、新たなインプットができるだけでなく、自分が中学生・高校生の頃にやった教材にあるものを、すべて錆びつかせずに保存しつづけることが可能になります。

 人の面倒を見てあげることが、自分の力を保存しつづけるのにもっとも有効であることは、私自身が塾という仕事を続けてきて実感していることです。素読舎の教材は、自分が中学や高校の頃に使ったことのあるものと同一物ですから、後輩の面倒を見ながら、自分の記憶をリフレッシュさせることができます。また、後輩の面倒を見る様子から判断して、塾をやる力があると根石が判断した人には、素読舎の教材をお分けし、自分で塾を始めていただく道も開こうと考えています。

 「ゆいまある」や「やじろべえ」の教室をやってきて気がついたことは、素読舎で行われる「技法グラウンド」という練習と、それとよく似た「英会話用インプット」の練習は、電話でも行えるということでした。電話代を生徒さんに負担していただき、教材費すべて込みで一ヶ月一万二千円で、今年(1999年)11月から開始いたします。すでに、名古屋で塾をやっておられる方が、生徒さんとして参加される旨、申し込みがありました。自分で塾をやり、英語を扱っているが、英語の発音やイントネーションに自信がないという方への練習も素読舎は行っていきます。

 電話を通じた練習を行うからには、素読舎で大学受験までに教材のすべてを使い終わることができなかった人に対し、大学入学後も、「技法グラウンド」という練習で素読舎の練習を継続し、基礎固めの教材をすべて使いきるということをしていただくことができるようにしたいと思います。(大学受験までの教材とは、実は基礎固めの教材に他なりません。)

 電話を使った練習は、二つの別系列の教材を使用します。「英会話用インプット」教材が一つです。これは、一般社会人向けです。もう一つは、基礎固め用の教材です。これは、素読舎を使って大学に合格した大学生向けです。

 さらに要望があった場合は、中学生向けに学校の教科書を素読にかけ、一冊分べらべらに読めるようにする訓練、高校生向けに「基礎問題集」「700」「1110」などから抽出した文例を「技法グラウンド」で音作りする練習などを、電話回線の上で開放していくことを予定しています。更埴市近在ではないため、素読舎に通うことができない遠くの親戚の方などにお勧め下さい。

 電話を使った練習では、教材作成の負担が私に生じない中学生の「教科書べらべら読み」は一ヶ月一万円です。練習は週に一回、15〜30分行います。素読舎作成の教材を自習用にお送りする練習(基礎教材の「技法グラウンド」「英会話用インプット」)は、一ヶ月一万二千円です。

 「音づくり」専用の練習では、15〜30分は決して短い時間ではありません。

 わずか15分とはいえ、これを「技法グラウンド」で行うなら練習は非常に濃密です。この練習が成り立つためには、あらかじめ生徒が自習しておいてくれることが条件になります。素読舎に通う人のように、塾に早めに来て、塾を使ってすべての練習をするというような使い方は電話ではできません。私が毎回指示する練習を自分でやっておいてくれれば、15〜30分で、普段素読舎の塾生が私(妻、村田君)を相手にして行う練習よりも多い時間となることも十分にあります。

 自分で練習をしてくれなければ、電話代も練習の料金も高いものになります。その場合に、最低の15分を適用します。こちらの指示通りあらかじめ練習をしておいてくれれば、最高の30分を適用します。その程度の時間でも大きく力をつける技術が素読舎にはあります。

 この電話を使った練習に関しては、「英会話用インプット」のものと、中学生用「教科書べらべら読み」のものはすでに印刷物があり、詳しいことをお読みいただけます。基本的には、英会話用インプットであれ、高校入試・大学入試用であれ、練習方法に変わりはありません。

 電話回線上では、条件なしに「技法グラウンド」を開放いたします。

 これらの構想の全体がねらっているものは、「大学受験が終わっても死なない英語」を作ることです。

 十代の時間の多くを注いだ英語が、大学受験が終わったとたんに死に始めるというのは、実に実にもったいないことです。そんな馬鹿な話があるかとすら思います。

 大学を終えて、またこの土地に戻って来る人が、あるいは、東京など、素読舎から遠く離れて暮らす人が、素読舎の練習が継続できるような構想として、練習の無料化と電話回線上で「技法グラウンド」を行うことを柱に、順次実施していく予定です。

 素読舎は小学生から社会人まで、非常に広い年齢層に対応できるようになっています。素読舎で育った人は、練習法が身についているため、社会人になってからも進み方が非常に速いのが特徴です。最近、30代、20代の人で、素読舎に英語をやりに戻ってきている人がいますが、一般の方と比べると新しい教材を進めるスピードがまるで違います。

 急速に錆び付くという宿命を持つ日本人の英語を死なせないために、大学生から社会人まで、また居住する場所を問わず素読舎を使える道を拓いていきます。

 基礎固めの教材を使いきることによる練習の無料化、電話回線による「技法グラウンド」の練習などをどうぞご活用下さい。

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 以下は、基礎固め用(大学受験用)の教材の一覧です。これらのすべてを終了した人が、今後は素読舎の「英会話用インプット教室」が無料化されます。

基礎問題集 500枚
700   700枚
1110  900枚
英文解釈  379枚

 これらの教材を高校時代に終了させることは、量的にはハードなものになります。しかし、素読舎本体で行われる「技法グラウンド」という練習と、オプション機能の「ジャンプ」を組み合わせることで、使いきることが可能となります。

 素読舎では、「ジャンプ」は有料のオプションとして、「技法グラウンド」は素読舎に塾生を紹介していただいた人へのお礼として開放されています。


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