2000年6月
6月1日
朝、明るくなって自宅自作のブロックを積むのをやめるがなかなか眠れない。松岡さんんからもらった本読む。伊川さんという人の村上春樹に関する本。ますます眠れない。
午後1時起きる。
一度、家に戻り、カッパ寿司。6皿。そのまま高速で中野へ。子供がいつも通りで、いつも通りの感覚を取り戻す。子供のにくたらしさとかわいらしさ。男は、寝ころんだり殴りあったりしていた。いつも通り。終了後、長野へ。ゆいまある。顔だけは全員見た。生徒は皆飲みに行った。松本さんと吉本さんと飲む。松本さんは、明日、北海道で暮らすために発つ。
-------------------------------------------------------------
6月3日
午後起きてすぐ妻の自宅へ。飯食って少し休めば午後3時。ウドのところへアメリカ行きの航空券のヴァウチャーのコピーを持参する。体が疲れていてやたらため息ばかり出る。ウドが自動販売機でコーヒーを買ってきてから、裏庭を見せ、これが何あれが何と植えてあるものを説明する。裏庭のベンチに腰掛けてウドが買ってくれたコーヒーを飲む。ホースラディシュの葉を一枚摘んできて食えと言うから食う。西洋ワサビとも訳される草だったと思うが、呑み込んだら急にワサビっぽい味がした。椋鳥が、ウドの住居の屋根で下を見下ろしている。ウドの家の屋根に何カ所か巣をかけているという。ウドは裏庭の隅に日本の焼き物の男子用小便器(おそらくこれがアサガオと呼ばれたものだろう、形がアサガオの花に似ている)を置いてある。焼き物の焼き味がいいのがお気に入りで、クールだと言って、裏庭の小さな庭のオブジェにしている。この便器を置いた場所が椋鳥の巣の真下で、椋鳥がこの便器にすごくたくさん糞を垂れると言って、ウドは椋鳥をののしった。ろくでもない鳥だとののしる。笑ってしまう。もともとトイレットだから、鳥が糞をしてもかまわんじゃないかと言うが、ウドはなおも鳥をののしり続ける。毎日、自分が鳥の糞を洗っているのだとののしる。変なガイジンが、便器を洗っていると言って、多分鳥も屋根の上でおまえのやってることを笑っているだろうよと言う。ウドのお気に入りの焼き物は、日本人は、一目で小便の便器だとわかるので、トミコのお袋は、ウドがこの便器を家に運び込んだのを見つけるや、やだ、ウドちゃん、これは駄目、汚いと黄色い声で叫んだそうだ。
疲れているが、自宅自作現場へ。ウドもカフェを作る仕事に戻る。
ブロックに流した横筋にコンクリートを流し込む。横筋をくるむコンクリートは手練りだとけっこうな量になるので、またへとへとになり、ときどき座り込む。夕方、千曲川の河原に砂をとりにいき、現場に戻る途中でパリオに寄り、寿司を物色。3割引きのシールが貼ってあるが、先日は半額だった。そろそろ半額になる時間だがと思っていたら、店員のおやじが今から半額今から半額と大声をあげながら半額のシールを貼り始めた。定価で680円のものをねらっていたのだが、今日はイクラ丼はなし。アジの寿司を買う。目の前で半額になったので340円。自動販売機でお茶を買い、現場に戻り車の中で食い、塾をやるために妻の自宅へ。
中学2年生二人の英語の読みを聞いたが、よく口がまわるようになってきた。
9時半過ぎ、ももちゃんの「電話でレッスン」をやる。読みの音が変わってきたのがわかる。一連の音が一連のものとしてつかまえられている。レッスンが終わって、まもなくお母さんから電話。それまでいつも60点くらいだったが、「電話でレッスン」を始めてすぐに80点とって、お母さんが驚いたようだったが、今度の春のテストでは90点だったそうだ。ももちゃん本人もごきげんだとのこと。うれしい知らせ。
妻と上山田へ行き、遅い夕食。舞鶴で日本酒と天麩羅蕎麦。再び自宅自作現場へ。床下に暖気を流すための通路の壁を利用して、掘り炬燵を作るが、その一段目のブロックを積む。ブロッック5枚積んでひとまず終わりにする。
伊川龍郎さんの「休日の村上春樹・コアにさわる」を読む。
-------------------------------------------------------------
6月6日
土日、塾。一人やめる。屋代のK。やる気のないやつはやめる。
塾を見に来た倉科の人は入りそうもない。
今日、月曜、起きてぼんやりしているところへウドから電話。ウレタン塗料を買いに行きたいが、前に一緒に行った塗料屋を教えろとのこと。教えるのはいいが、道が難しい。どうもウドが要領を得ないので、トミコに変わる。国道から右に折れる信号の名前さえわかれば比較的楽なのだが、信号の名前も店の名前も忘れてわからない。自分で行けば確かにたどりつくだけのこと。トミコに説明して電話を切った後、やはり不安になる。わからなくなったら、俺の携帯に電話すると言うが、まず間違いなくわからなくなるだろうし、長野の町の中の細い道に入ってわからなくなったら、電話でトミコとウドの現在位置というものの割り出しからやらなくてはならなくなる。こちらから電話。アメリカに持っていくみやげものを買いに行くから、近い方のもう一つの塗料屋へ連れて行ってやることにする。
飯を食ったら来ることになっていて、トミコとウドが来たとき、ちょうど俺が飯を食い始めるところだった。カールを見て、妻がよだれをたらしそうな顔になる。いつもの赤ん坊すけべ。赤ん坊さえ見れば、顔の筋肉がゆるみっぱなしになる。
ウド一家を少し待たせて、飯を食い終わり、一緒にでかける。小市橋を通って中村塗料へ。ウレタンの一斗缶、1万円。
中村塗料で、ウドたちと別れ、八十二銀行へ。5万を現金のドルに、7万円をトラベラーズ・チェックにする。去年使い残した500ドル余りのトラベラーズ・チッェックがあるから、これで十分だろうと思う。八十二銀行からゆいまあるへ。吉本さんに、みやげものを物色するに都合のいい店を聞くが皆目わからない。長野の町の中へ出ないのですかと聞くと、年に一度か二度しか出ないとのこと。それじゃ、わからないだろう。小布施へ行くことを奨められる。自在屋に横田さんもいることだから、横田さんに適当な店を教えてもらうことにして、小布施へ。
吉本さんが話していた和紙の店はすぐにみつかる。先に自在屋へ行き、アメリカへのみやげを探しているのだと横田さんに言う。小さめの風呂敷を薦められて5枚買う。栗ようかんを3本。自在屋から和紙の店(名前忘失)へ。東海道五十三次の浮世絵が印刷されたトランプ一箱、赤ベコ一頭、お年玉を入れるような大きさの気のきいたデザインが施された和紙の袋のセットを三つ。
腹が減り、BUDへ。ビール、スパゲッティ、コーヒー。1700円。前から噂だけは聞いているジャズ喫茶。音はいい音が出ているが、低音の泥くささが消されたきれいな音。高音部だけにメリハリがある。低音の貧弱なのがもの足りない。それでもやはりいい音を聞くとぼんやりする。
小布施温泉へ行くか行くまいか迷うが、1時間近く入った後で高速道路を使って帰れば、8時半からの教室に間に合うと判断し行く。初め熱い湯だと思ったが、体を洗ってもう一度入ったらいい湯加減だと思う。長く入っていたかったが出る。高速道路で須坂から更埴まで。ちょうど時間に間に合う。
日本語を使ったら、10円の罰金でフリーカンバセーションの日にする。ウドが一番日本語の単語を言い、60円払う。俺は30円。村田君、妻も30円。吉田さん40円。長谷川さん10円。
10時半、ウドが昼間買ったウレタンを床の木に塗るというので見に行く。床はツーバイテンの柔らかい松材。これにウレタンを塗れば、ウレタンが堅い保護膜になるのだそうだ。ウドはシンナーを使わず、どろっとしたウレタンをじかに床に塗った。3回塗りすれば、土足で踏んで10年はもつという。自作中の俺の自宅の居間の半分近くは、土足を脱いであがる床になる。そこへウドがやっている方式で木の床を作ろうと思う。下手な床材を買うより安い。
12時頃か、ウドのところから妻の自宅へ戻る。横田さん、仏円さん、聡、村田君がまだパソコン教室をやっていた。みんなが帰ってから、アメリカから葉書を書く予定の人たちの住所を手帳に書き写す。妻と別れ、自宅自作現場へ。途中、ローソンで冷やし中華、ヒジキのサラダ、リゲイン、単三乾電池4本買う。
明日は現場をやる。水曜日は出発の前日なので、一日国民温泉でぐたぐたして骨休めをやる予定。
-------------------------------------------------------------
「日録」へ